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【小説 紹介】 「デットエンドの思い出」(よしもとばなな著) 感想

この記事では「デットエンドの思い出」(よしもとばなな著)を読んだ感想を書きました。

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この小説は5編からなる短編集でそれぞれが独立した話になっています。

なのでどこから読んでも楽しめます。

幽霊が出るアパートに住んでいる岩倉君と、主人公との恋愛を描いた「幽霊の家」

精神的不安定になっていた主人公と、家族、恋人との関係を描いた「「おかあさーん!」」

おめかけさんの子供まこと君と、私との幼少時代を描いた「あったかくなんかない」

一人の男性に好意を抱いているともちゃんの、半生を綴った物語「ともちゃんの幸せ」

彼氏との連絡が途絶えた主人公(私)と、異様な幼少時代を過ごした西山君との日々を綴った物語「デッドエンドの思い出」

の5編です。

どの作品も切なく、けれど暖かい話です。

よしもとばななさんらしいです、らしさが出ています。

個人的に好きというか、心に残ったのは3つ目の「あったかくなんかない」と、4つ目の「ともちゃんの幸せ」ですね。

「ともちゃんの幸せ」に関しては感動したというか、衝撃を受けました。

20Pぐらいの短い話なんですけど、すごい残りましたね。

 1、幸せってのはささやかな物

この作品に共通してあるのは「日常のほんのささやかな幸せ」なんですよ。

好きな人と日向が当たった場所で話すとか、当たり前の家族がいるとか、そういうことが本当の幸せだということ。

そんなささやかな幸せが描かれています。

私たちは当時若かったのでセックスでつながっているのかと思っていたが、そんなことではなく、ただこうしてなんとなく話をしているだけで、おなかの底から言いようのない活気が湧いてきて、ああ、これだ、これでいいんだと思えてきた。

これは最初の話「幽霊の家」からの主人公の心理描写。

こんなことを思える相手がいるだけで、本当幸せだよなぁと思います。

裏山。

2、理不尽だなぁ

全体的に「えぇ、かわいそうだなぁ」と思う話があるんですが、特に4つ目の「ともちゃんの幸せ」ですね。

この話は結構きついなぁ。

「ともちゃん」の物語は主人公が、理不尽な目にばかりあうんですが、それは世界中で誰にでも起きている当たり前のことだということ。

「どうして私が?どうして私だけにこんなことが?」という身を裂かれるような疑問を、今日も世界中で大勢の人が発している。そう、神様は何もしてくれない。

まぁ、そうかもしれんけどさぁ・・・ていう話。

そうなんですよ、みなさんも辛いこととかあっても、神様は何もしてくれないじゃないですか。

どうしようもない理不尽なこととかあってもね。

出来事の大きい、小さいはあるけども。

でも、それは神と呼ぶにはあまりにもちっぽけな力しか持たないまなざしが、いつでもともちゃんを見ていた。熱い情も涙も応援もなかったが、ただ透明に、ともちゃんを見て、ともちゃんが何か大切なものをこつこつと貯金していくのをじっと見ていた。

これは終盤の描写なんですけど、好きなんですよね。

涙出ますよ神。

「ともちゃんの幸せ」、この話たった20Pなんでね、機会があったらぜひ読んで見てください。

3、切なくも暖かい

そう、切なくも暖かい。

これはよしもとばなな作品の特徴だと思います。

3つ目の「あったかくなんかない」に関しては、すごい切ない話なんですが、何故かしら暖かいんですよね。

あったかくなんかなくもないんです。

退屈で、永遠で、まことくんにとって一番幸せだったほんのちょっとの、この世でのくつろぎの時間の道ずれとして…他の誰でもないこの私がいっしょにいられたことを、私は、今でも光栄に思うのだ。 

 この話もね、何とも言えないんですよ。

ハッピーエンドって訳じゃないんですが、バットエンドっていう訳でもない。

何とも言えない終わり方をするんすよねぇ。

それがまた好きなんだけど。

切ないけれど、暖かいお話です。

おススメですね。

まとめ

この作品のあとがきでね、作者のよしもとばななさんはこう語っています。

私はこの中の「デットエンドの思い出」という小説が、これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。

これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。

2003年の作品なんですけどね。

ここまで言わせるのもすごいですよねぇ。

そして、幸せっていうのは意外と近くに、当たり前の中にあるものなんだな、とも思いました。

ぜひね、機会があれば「デットエンドの思い出」読んで見てください。

終わり。